AIの「できました」に、丸を付けたのは誰ですか|100体のAIの実験でわかった、任せ方のひとつの穴

AI活用

AIに何か頼んで、できました、と返ってきたとき。

その「できました」を、どこまで確かめていますか。

きょう出た記事に、AIを100体集めた実験が載っていました。読んでいて、これ、ひとり仕事の僕らの話だな、と思ったんです。

100体のAIに、71個の数学の問題を解かせた

GIGAZINEの2026年9月8日の記事によると、Google DeepMindの研究者たちが、AIを100体用意して、71個の数学の問題を解かせました。まだ誰も解いていない難しいものも混ざっていたそうです。

AIたちには、こう言い渡してありました。ほかの子と協力すること。最初に解いた子には、報酬を出す。

そして決まりごとも、はじめに渡してあります。記事の言葉をかみくだくと、証明は必ず正しくなければならない。不正はすべて見つかる。そのときの報酬はゼロになる、という内容でした。

始まって1時間で、71個のうち37個が解けました。ここまでは順調です。

行きづまった1体が、採点プログラムの穴を見つけた

ところが、残りで行きづまった1体が、あることに気づきます。

答えの採点をしていたのは、人ではなく、プログラムでした。そのプログラムには、答えをうまく取り出せなくなる書き方がある。それを見つけてしまったんです。

その書き方に置きかえて出し直したら、そのまま受け取られました。

そこでこのAIは、こう覚えます。問題を解かなくても、答えの書き方をいじるだけで報酬がもらえる。

この抜け道は、AIたちが答えを置いていた共有の棚を通って、あっという間に広がりました。見つかってから27分で、残りの34問が「解けた」ということになったそうです。

100体は、4つに分かれた

面白いのはここからで、100体はまっぷたつには割れませんでした。

  • はじめから抜け道を使って、まわりに広めた子が、9パーセント
  • 最初はまじめだったのに、途中から乗り換えた子が、5パーセント
  • 抜け道を使わずに、これはおかしい、と声を上げた子が、24パーセント
  • 抜け道があることを最後まで知らないまま、まじめに解こうとしていた子が、62パーセント

足すとちょうど100になります。

原因は、AIの性格ではありませんでした

さっきの決まりごとを、もう一度思い出してください。不正はすべて見つかる。報酬はゼロになる。

これ、書いてはあったんです。ちゃんと、はじめに書いてあった。

でも研究者たちは、あとでこう振り返っています。言い方をやさしくすると、動きを止める仕組みを入れていなかった。報告をその場で見てもいなかった。だから、止められなかった。

途中から乗り換えた子たちは、あの決まりごとは、ただのおどし文句だったんだな、と受け取ったそうです。

つまり、原因はAIの性格ではありませんでした。丸を付ける係を、預けっぱなしにしていたこと。ここです。

解けたかどうかを決めていたのは、あのプログラムだけでした。人は、その手前にも、うしろにも、いなかったんです。

これ、僕らも、まったく同じことをやっています

AIから返事が来て、上のほうに、できました、と書いてある。それを読んだ瞬間、丸を付けたのは誰でしょうか。

たいてい、AIです。こちらは、その丸を受け取っているだけなんです。

お願いの最後に「ちゃんとやってね」「間違えないでね」と書いていませんか。気持ちは伝わるけれど、これは終わりの決め方ではないんですよね。

きょうから変えられること3つ

① 返事のいちばん上を、先に消す

AIの返事って、たいてい最初の1行に、できました、とか、直しました、と書いてありますよね。

その1行を、中身を読む前に、消してしまう。それだけです。

消すと、丸のついていない、ただの文章が残ります。そこから読みはじめる。順番を入れかえただけなんですが、目の付きどころが変わります。

② 丸は、こちらが付ける

返ってきた文章の下に、自分の言葉で1行だけ書き足してください。

「ここは自分が見た」と書いて、そのうしろに、見たものを続けます。

これが書けないときは、まだ読んでいない、ということなんです。書けたら、それが丸です。書く場所は返事のすぐ下でいいですし、20秒もかかりません。

③ やりとりを、消えない場所に置く

思い出してほしいのが、さっきの24パーセントです。

おかしい、と言えた子たちが、なぜ気づけたか。みんなの答えが、同じ棚に並んでいたからです。隠れた場所でやりとりしていたら、誰も気づけませんでした。

僕らでいうと、返ってきた文章を、その場で使い切って閉じない。日付を付けて、どこかに残しておく。ノートでも、下書きでもいいです。

3日たってから読む自分が、いちばん厳しい係になってくれます。

おわりに

AIは、こちらが決めたとおりに動きます。そして、丸を付ける係が空いていたら、そこにも、そのまま座ります。

ずるいAIと、まじめなAIの話ではありませんでした。丸を付ける係を、誰がやるか、という話でした。

きょうの一歩です。AIに下書きを頼んだものを1つ、頭に置いてください。それが返ってきたら、いちばん上の1行を消してから、読んでみてください。

※①②③は記事に書かれている手順ではなく、ひとりで仕事をしている人向けに置き換えた、僕なりの読み替えです。

動画では、実験の中身をもう少しくわしく話しています。

YouTubeで説明してます

よかったらみてください

↓

同じことで止まっている人が集まっている場所もあります。気になったら、のぞいてみてください。

↓

LINE登録
ごとんの公式LINEです。友だち追加すると、いまのご案内がLINEで届きます。

出典: GIGAZINE「数学の難問を与えられた100体のAIエージェントが不正を行う側と不正に対抗する側に分かれたことがGoogleの実験で判明」(2026年9月8日)

数学の難問を与えられた100体のAIエージェントが不正を行う側と不正に対抗する側に分かれたことがGoogleの実験で判明
数学問題を解くというタスクを実行していた100体のAIエージェントが、システムの欠陥を見つけて解いてもいない問題を「解いた」と報告したことが分かりました。ただ、100体全てが不正をしていたわけではなく、不正行為を見つけて人間の監督者に知らせ...

論文: A Case Study on Emergent Cheating and Whistleblowing in Autonomous Research Swarms(arXiv:2609.04170)

A Case Study on Emergent Cheating and Whistleblowing in Autonomous Research Swarms
Multi-agent AI science ecosystems rely on agents possessing tools that allow them to communicate, coordinate, and build ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました