作ったのに、誰も使ってくれない|足りなかったのは宣伝ではなく「聞く相手」でした

AI活用

作ったもの、出してみたのに、反応がない。

いいね、とは言ってもらえる。すごいね、とも言ってもらえる。でも、誰も使わない。

先に、はっきりさせておきたいことがあります。いちばん最初に作るものが「自分が欲しかったやつ」になるのは、正しいです。

自分がずっと困っていたこと。誰も助けてくれなかったこと。それを形にする。出発点としては、たぶん、これが一番いいです。

問題は、そのあとでした。

反応が返ってこないと、人はだいたい、2つのどちらかに行きます。私の作り方が下手だったのか。それとも、宣伝が足りなかったのか。

たぶん、どちらでもありません。確かめる相手を、まちがえていただけです。

なぜ、黙って閉じられるのか

自分のために作ったものは、自分には、めちゃくちゃ使いやすいです。

当たり前です。使う順番を、自分は知っているからです。うまくいかなかったとき、どこに戻ればいいかも、知っています。

つまり、自分には、説明がいらないんです。

ところが、人に渡した瞬間に、そこが全部消えます。どこから始めるのか、わからない。書いてある言葉の意味が、わからない。つまずいたとき、どうすればいいのか、わからない。

そして、黙って閉じられます。

ここが、いちばんつらいところで。文句すら、返ってこないんです。

使いにくかったよ、と言ってもらえたら、まだ直せます。でも、たいていの人は、何も言わずに閉じて、そのまま忘れます。

だから、使われないのは、出来が悪かったから、とは限りません。渡したあとに何が起きたかを、こっちが知らないだけです。

見るところは、2つだけにします

いいね、の数ではありません。友だちが、すごいね、と言ってくれた回数でもありません。

見るのは、この2つです。

1つ目。こっちが言わなくても、その人が、自分から使い始めたか。

2つ目。1回で終わらないで、もう一度、使ったか。

きびしく聞こえるかもしれません。でも、安心してほしいことがあります。たくさん集めなくていい、ということです。1人分でも出たら、それは本物です。

逆に、1つ目が、誰からも出ていないなら。作り直す前に、聞く番です。

売り場で、商品を棚に戻したお客さんに聞いた話

ここで、僕の話をさせてください。家具のニトリで、商品を作る側にいたころの話です。

売り場に立っていたら、お客さんが、僕の作った商品を手に取りました。そのまま買い物カゴに入れようとして、棚に戻したんです。

100円や200円のものでした。でも、気になって、その場で声をかけました。

「すいません、この商品作ったの僕なんですけど。手に取って入れようとしたのに、もう一回戻した理由を、教えてもらえませんか」

返ってきた言葉は、こうでした。

「ちょっと、ダイソー行ってからにしようかな、と思いました」

この答えは、作りの話でも、値段の話でもありませんでした。お客さんの中にある、買う順番の話でした。

しかも、この順番は、逆にはなりません。

家でお皿が1枚割れて、買いに行くとき。最初に思い浮かべるのは、100円ショップです。そこで良いのが無ければ、近くにニトリがあれば行ってみようか、となる。

ニトリで手に取って、100円ショップも見てから、と戻す人は、ほとんどいません。金額が上がるほど、この見比べは増えていきます。

これ、買ってくれた人に聞いていたら、一生わからなかったです。買ってくれた人は、もう、こっちを選んでくれた人だからです。

知りたいことを持っているのは、買わなかった人のほうでした。

聞き方には、コツが1つあります

よかったところを、聞かないことです。

よかったところは、たいてい、気をつかって答えてくれます。だから、あまりわかりません。

聞くのは、こっちです。

「使ってみて、いちばん面倒だったところは、どこですか」

これだけです。言いにくかったら、前にひとこと足してください。「全然もう使わないでよかったので、教えてください」。こう言うと、相手は、ほんとうのことを言いやすくなります。

AIの使いどころは「下見」まで

人に聞く前に、下見ができます。

渡すつもりの説明文を、AIに、そのまま貼ってください。そのうえで、こうお願いします。

「これをはじめて見た人は、どこで手が止まりますか。つまずきそうなところを3つ、質問の形で出してください」

質問の形で、というところが大事です。すると、ここは何のことですか、これはどこを押すんですか、そういうものが並んで返ってきます。その3つを先に直してから、人に渡す。

ただ、正直に言っておきます。AIは、お客さんの代わりにはなりません。

AIは、こちらの説明を読んでくれるだけで、その商品を欲しいとは思っていないからです。だから、これは下見どまりです。

下見をすませてから、生きている人に、1人だけ聞く。この順番です。

まだ何も作っていない人へ

順番を、ひっくり返してください。

作る前に、その困りごとを持っている人を、1人、紙に書きます。名前で書きます。書けなかったら、そこが、まだ足りないところです。

きょうの一歩

質問を1つするだけです。

あなたの作ったものを、一度は見たのに、そのあと使わなかった人。その人を1人だけ思い浮かべて、こう聞いてみてください。

「使ってみて、いちばん面倒だったところは、どこですか」

返事が来なくても大丈夫です。聞けたら、きょうは合格です。

使われないのは、作り方が下手だったからでも、宣伝が足りなかったからでもない。たいていは、聞いた相手が、まだ1人もいなかっただけです。

動画では、ここをもう少しゆっくり話しています。

YouTubeで説明してます

よかったらみてください

自分の作ったものは、自分ひとりでは、どこがひっかかるのか分かりません。使ってくれそうな人が思い浮かばないときは、おうちAI研究所という集まりで、その話をしてみてください。人の頭を借りると、名前のほうが先に出てくることがあります。

気になったら、のぞいてみてください

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