
「あ、これ、前にも同じ説明したな」
そう思ったこと、ありませんか。
相手が変わっただけで、聞かれていることは先月とまったく同じ。そのたびに、また一から書いています。
僕も長いあいだ、これは自分の説明が下手だからだと思っていました。もっと丁寧に書けば、もっと分かりやすく直せば、聞かれなくなるはずだ、と。
でも、そうじゃなかったんです。
説明は、もう書いてある

けさ、茨城県の鹿嶋市の記事を読みました。
この市役所には、市民の方から毎日おなじような問い合わせが来ていたそうです。健康診断のこと、妊婦の手続きのこと。電話でも窓口でも、同じ内容が1日に何件も。1件で10分から20分かかることもあったといいます。
ここでふつうは、こう考えます。説明が足りないから聞かれるんだ、と。
でも、ちがいました。
その説明は、市のホームページに前からぜんぶ書いてあったんです。
書いてあるのに、聞かれる。
足りなかったのは説明ではなくて、そこにたどりつく道のほうでした。
市役所がやったのは、書き直しではありません

では、市役所は何をしたか。
ホームページを作り直したのでは、ありません。
そのホームページを、そのままAIに読ませました。市民の方が質問すると、そこに書いてあることの中から、AIが答えを作って返す。そういう窓口を、ホームページの上に置いたんです。
2025年12月18日から2026年2月28日までの73日間ためして、2026年4月から本番で動いています。
使った人へのアンケートには118件の回答があり、そのうち83%が「役に立った」と答えました。
おもしろいのは、その理由です。
「市のホームページより分かりやすい」
中身は、同じなのに。同じことが書いてあるのに、聞ける形になっただけで、分かりやすくなった。ほかにも「24時間利用できる」「言葉遣いが丁寧」という声がありました。
(※市は「この使われ方が1年続いたとしたら、年間の業務削減効果は約590時間」と見込んでいます。実際に減った時間ではなく、あくまで見込みの数字です。)
ここからは、あなたの机の上の話

ひとりで仕事をしていると、こう思います。
「ちゃんとした案内文を、いつか作らなきゃ」
そう思ったまま、1年たっていませんか。
でも、新しく書く必要はありません。
あなたはもう、書いています。お客さんに送ったメール。ブログの記事。申し込みの案内。値段の説明。
散らばっているだけで、答えはもう、そこにあります。
AIには、こう頼みます

やり方を、順番に。
1. 聞かれたことのほうを、集めます。
これから1週間、誰かに質問されたら、その言葉をそのままメモしてください。「よくある質問はこれだろう」と自分で考えないでください。実際に来た言葉のほうが、ずっと当たります。3つ集まれば、じゅうぶんです。
2. 答えのもとを、集めます。
過去に自分が書いた文章の中から、その質問に関係しそうなものを探して、コピーします。メールでも投稿でも、きれいに整えなくていいです。
3. AIの画面にまとめて渡して、こう打ちます。
> これは私がお客さまに送った文章です。この中に書いてあることだけを使って、次の質問に答えてください。書いていないことは、書いていません、と答えてください。
ここが、いちばん大事なところです。
「この中だけを使って」と言わないと、AIは世の中の一般論で埋めてきます。一般論で埋まった答えは、もう、あなたの案内ではありません。
「書いていない」と言わせておけば、抜けているところがそこで分かります。そこだけ、あとから足せばいいんです。
返ってきた答えの使い方

返ってきた答えを、そのままお客さんに送らなくて大丈夫です。
一度、自分で読んでください。言い回しが自分っぽくないところだけ、直します。
直したものを1枚にまとめて、いつも見えるところに置きます。プロフィールでも、申し込みページの下でも、返信メールの終わりでも。
置いた次の週から、同じ質問が来る回数が変わります。うまくいったかどうかは、気分ではなく、そこに出ます。
姿が見えない相手ほど、人は聞いてこない

これが効くのは、相手からこちらの姿が見えていないときです。写真も名前も出していない発信なら、なおさら。
知らない人に質問するのは、それだけで気が重いんですよ。聞きにくいまま、そっと離れていきます。
だから、聞かれる前に、置いておく。置いてあるだけで、それが、あなたの代わりに答えてくれます。
今日の一歩

きょうは、ひとつだけ。
この1か月で、誰かに聞かれたことを1つ思い出してください。思い出せたら、それに近いことを書いたメールか投稿を、1つ探します。
見つかったら、それで今日のぶんは終わりです。渡すのは、あしたでいいです。
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動画では、AIに打つ文もそのまま画面に出しながら、もう少しゆっくりお話ししています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
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同じ質問が来るところを持ち寄る場として、おうちAI研究所という集まりをやっています。
気になったら、のぞいてみてください
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※この記事で紹介している手順は、鹿嶋市の実証実験の再現ではありません。仕組みの考え方だけを借りて、ひとりで仕事をしている人の手元でできる形に、僕なりに置き直したものです。
※出典: @IT「茨城県鹿嶋市は『公式Web×Claude』で市民対応をどう変えた?」(2026年9月3日公開)


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