話を聞きながらメモを取る人へ|足りないのは手ではなく、目のほうでした

AI活用

相手の話を聞きながら、手元に目を落とす。

顔を上げたら、もう次の話に入っていて、ひとつ前を聞きそこねている。

これ、僕も何度もやりました。あとで書いたものを見ると、途中から字が止まっているんですよ。

きょうは、その「聞きながら書く」をやめた話をします。

機械のほうが、聞き終わるのを待つのをやめました

こういう発表が、記事に出ていました。

マイクロソフトが、話している最中に文字を出すAIを公開しました。向こうの時間で2026年10月1日です。

これまでの文字起こしは、しゃべり終わってから渡して、できあがるのを待つ形でした。

今度のものは、声が届いてから0.1秒ちょっと(発表の表記では100ミリ秒強)で、もう文字が出ます。そして話の続きを聞きながら、さっき出した文字を直して確定させていきます。

日本語を含めて60言語。精度の評価では1位。値段は年末までの価格で、音声1時間あたり0.54ドル、日本のお金で85円くらいです。

ここまでだと、機械の自慢話です。僕も最初は、そう読み流しました。

ひっかかったのは「話している最中」というところでした。機械のほうが、聞き終わるのを待つのをやめたんです。

手は2つありますが、目は1組です

聞きながら書くとき、何が起きているか。

手は動いています。でも、目は書くほうに落ちています。

手は2つありますが、目は1組です。手元を見ているあいだ、相手の顔は見ていません。

ここが、僕がずっと勘違いしていたところでした。

書くのが遅いから間に合わないんだと思って、速く書く練習をしようとしたんです。でも、速くしても戻ってこないものがありました。見ていなかった時間です。

言いよどんだところ。言い直したところ。声が少し下がったところ。

そういうものは、書いたものには残りません。その場で見ていないと、もうありません。

つまり、間に合っていなかったのは手ではなく、目のほうでした。

聞く場でやめた1つのこと(やり方は3つ)

やめたのは、聞いているあいだに書くことです。

やることは3つ。どれも、道具を増やさずにできます。

① 始まる前に、録音を先に始めておく。オンラインなら記録のボタン。向かい合って話すなら、スマホの録音のアプリで足ります。新しく買うものはありません。

② 相手に一言、ことわる。「あとで思い出したいので、記録を取らせてもらっていいですか」。ここは外さないでください。黙って録音するのは、信用のほうを削ります。

③ どうしても忘れたくない場面が来たら、言葉を書かずに、時間の数字だけ書く。「18分」。それだけなら、顔は上げたままでいられます。

そして終わったあと、文字になったものを開きます。そのとき、全部は読みません。読むのは、自分が数字を書いたところだけです。

さっきのニュースと、ここでつながります。あの機械も、先に間に合わせを出して、あとから直していました。聞いている最中に、正しく書こうとしていないんです。

僕たちも同じでいいんだと思います。聞くのと書くのを、同じ時間に重ねない。書くほうを、後ろにずらす。それだけです。

任せる前に。機械の文字は、きれいには残りません

ここからは、都合の悪いほうも書きます。

僕の記録にも、読めない行がたくさんあります。言葉がばらばらに切れていて、意味が追えない行です。

でも、崩れているのは見れば分かるので、まだいいんです。

こわいのは、どっちが言ったかを間違えること

僕が使っている道具は、会話ごとに「これは本人の声です」という印をつけてくれます。その印が、よく付きません。

2026年8月21日の記録を見ると、その日の会話46回のうち、印が付いたのは1回だけでした。

もっとはっきりした間違いもありました。2026年8月9日に出ていた人の集まりで、登壇していた先生方の話を、僕の考えとして記録していたんです。同じ型のものが別の日にもう1件ありましたが、そちらはまだ確かめきれていません。

機械は、悪気でこれをやっていません。声の似ている人が続くと、そうなるだけです。

決まりは1つ。誰の口から出たかは、自分で確かめる

なので、決まりを1つ作りました。

機械が残した文字は、「そういう話が出た」というところまでを受け取る。誰の口から出たのかは、自分の目で確かめる。

これは、お客さんを相手にする商売なら、どこでも大事なところです。

お客さんの言葉を、あとで案内文や感想として使うことがありますよね。そこを機械の記録だけで書くと、言っていない人に、言わせてしまうことになります。

きょうの一歩

お客さんと向き合う仕事をしている人ほど、ここは効きます。

教室でも、相談を受ける人でも、物を売る人でも同じです。その人が帰ったあとに残っているのは、話した中身よりも、ちゃんと聞いてもらえた、という感じのほうなんですよ。

手元を見ている時間は、そこを少しずつ削っています。しかも、削れていることは、相手も言いません。

次に誰かの話を聞く1回だけ、書くものに目を落とさないでみてください。

残すのは、時間の数字だけ。それ以外は、終わってからにする。

うまくできなくても大丈夫です。顔を上げていた、それだけで十分です。

書いたものは、あとでも読めます。相手の顔は、いましか見られません。

動画でも話しています

YouTubeで説明してます

よかったらみてください

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▼チャプター

0:00 手元に目を落とすと、何が起きるか

0:17 話している最中に文字が出るAIが公開された

1:10 僕も、勝手に文字になる道具を使っています

1:21 きょうの中身

1:39 足りないのは手ではなく、目のほうでした

2:18 聞く場でやめた1つのこと——やり方は3つ

2:55 読むのは、自分が数字を書いたところだけ

3:21 任せる前に。機械の文字は崩れます

3:39 こわいのは、どっちが言ったかを間違えること

4:15 決まりは1つ。誰の口から出たかは自分で確かめる

5:00 きょうの一歩

5:23 まとめ

同じようなことを話している人が集まっているラインの部屋があります。看板は、おうちAI研究所。気になったら、のぞいてみてください。

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