AIに聞いても身につかない人へ|「教えて」の前に「出して」と打つだけで変わりました

AI活用

AIに聞いてはいるんです。読んで、そうかと思って、画面を閉じる。

それで次の日、同じところでまた止まっている。身についた気がしない。

この感じ、ありませんか。僕もずっとそうでした。

先日、ある研究の記事を読んで、その理由が分かりました。数字も意外だったんですが、それより大事だったのは、伸びた人たちが「教わる前」にやっていたことのほうでした。

AIに1時間、プロに1時間。どうなったか

調べたのは、ハンドシェイク エーアイ リサーチのカーティス・ノースカット氏たちです。論文は2026年9月23日に出ています。

集まったのは成人2383人。みんな最初に、アメリカの大学院に進むときに使われるGREという試験の問題を27問解きます。

そのあと3つに分かれます。AIと話しながら1時間学ぶ人。人の専門家からビデオ通話で1時間教わる人。試験と関係のない教育動画を1時間見る人。

1時間たったら、全員が同じ分野の別の問題を27問解いて、伸びを比べました。

結果はこうです。

  • AIに教わった人:平均13.9ポイント上昇
  • 人の専門家に教わった人:15.6ポイント上昇
  • 関係ない動画を見た人:7.1ポイント上昇

平均だけ見ると人のほうが上ですよね。ただ研究チームは、実験を始める前に「差がどこまでなら同じと見るか」を決めていました。プラスマイナス4.09ポイントです。実際の差はその中に収まったので、数学と言語を合わせた効果は「同等」と判定されました。

1ポイント上げるのに、いくらかかったか

お金のほうも出ています。正答率を1ポイント上げるのにかかった費用が、いちばん安かったAIで約0.82円。1円に届きません。人の専門家は約760円でした。918分の1です。

ただしこの918分の1は、AIの利用料と、公開されている指導料の参考価格から割り出した数字です。1時間の値段をそのまま比べたものではないので、そこは正直に書いておきます。

伸びた人が、教わる前にやっていたこと

ここが今回いちばん渡したいところです。

記事の中に、さらっと書いてある1行がありました。

指導のとき、最初のテストで間違えた問題が、担当のAIや人に、先に伝えられていた。

つまり、手ぶらで1時間を始めた人は、この実験には1人もいないんです。みんな、自分がどこで間違えたかをはっきりさせてから座っている。

思い返すと、僕がAIに聞くときは、たいてい手ぶらです。「インスタの投稿の書き方を教えて」と打つ。返ってくるのは、たしかに正しい説明。読んで、そうかと思う。

でも、自分がどこでつまずいているのか分からないまま読んでいるから、閉じたら残らない。次の日、また同じところで止まる。

説明が足りなかったのではなくて、聞く前の準備がまるごと抜けていたんですね。

「教えて」の前に、「出して」

ここから先は、研究のやり方を再現する話ではありません。僕が自分用に作り直した形なので、そのつもりで読んでください。

やることは4つです。

1つめ。AIに問題を出してもらう。

> インスタの投稿について、私が分かっていないところが見つかる問題を5問出してください。答えは、私が答えるまで見せないでください

この「答えを見せないで」の一言が効きます。付けないと問題と答えが一緒に出てきて、読むだけで終わります。

2つめ。5問に自分の言葉で答える。

ここでスラスラ書けない問題が、必ず1つか2つ出ます。それがあなたのつまずきです。探さなくても、勝手に浮かび上がってきます。

3つめ。答えられなかった問題だけを貼って聞く。

> この2問に答えられませんでした。ここだけ教えてください

説明の量がぐっと減ります。自分に関係のあることしか返ってきません。

4つめ。最後にもう5問もらう。

> 同じ形の問題を、もう5問ください

今度は自分で答えられます。この2回目があると、伸びたかどうかが、人に言われなくても自分で分かります。

教える側に立ったときも、同じでした

これ、お客さんに何かを教える立場のときにも、そのまま裏返って使えます。

説明を足すほど伝わる気がして、僕はずっと資料を厚くしていました。でも先に1問やってもらったほうが、その人がどこで止まっているかが5分で見えます。

正直に言っておきたいこと

3つあります。

まず、言語(文章)の伸びは、人の専門家のほうが良かったです。同等と判定されたのは数学だけでした。文章の良し悪しや伝わり方については、まだ人に見てもらったほうがいいということです。

次に、この実験で測ったのは、教わった直後の伸びです。数カ月後も残っているかは「今後調べる必要がある」と研究チーム自身が書いています。

最後に、これはアメリカの大学院の試験の話です。あなたの仕事の学びで同じ数字が出るかは、この研究では確かめられていません。

今日の一歩

いま止まっている作業を、1つだけ選んでください。

その作業の名前を入れて、AIに「私が分かっていないところが見つかる問題を5問出してください。答えは見せないで」と打つ。

それだけです。5分あれば終わります。

変えるのはAIのほうではなくて、打つ順番でした。「教えて」の前に、「出して」。

僕はこう思うけど、あなたはどう思う?

動画でも話しています

くわしくは動画のほうで話しました。

▼チャプター

0:00 聞いたのに、残らない

0:55 AIに1時間、プロに1時間

1:34 伸びは13.9と15.6

2:04 1ポイント上げるのに、いくら

2:30 伸びた人が、教わる前にやっていたこと

2:52 僕も、たいてい手ぶらでした

3:16 「教えて」の前に、「出して」

3:29 AIに打つ文、そのまま

4:22 教える側に立ったときも、同じ

4:37 正直に言っておきたいこと

5:07 今日の一歩

5:21 まとめ

5:53 コメントで教えてください

▼出典

  • GIGAZINE「『AI家庭教師と人間の専門家による指導の学習効果は同等』という研究結果、正答率の向上にかかる費用は918分の1」(2026年9月26日) https://gigazine.net/news/20260926-ai-tutor-human-gre-cost/
  • arXiv:2609.28470 StudentBench: AI and human tutoring yield equivalent GRE learning gains https://arxiv.org/abs/2609.28470

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