
あなたが最近出した文章の中に、ふだんの自分なら、まず使わない言葉が1つだけ混じっていませんか。
案内文でも、お礼のメッセージでも、投稿でも構いません。もし心当たりがあるなら、たぶんそこが、AIに直してもらったところです。
ひとつ混じるだけで、文章ぜんたいが少し他人行儀になります。そして、書いた本人がいちばん気づきにくい。
先週、海外の書き手が自分のブログに書いた文章が、日本の記事でも紹介されていました。書いたのはトーマス・プタチェクさん。アメリカのクラウド会社で働いている、ソフトウェアの技術者です。
その人が、AIと一緒に文章を書くときのルールを2つだけ決めている、と書いていました。1つ目が、なかなか強いんです。
> AIが提案してきた言葉は、1つも使わない。
続きがあります。その言葉が気に入っても。いまの自分の文より良いと確信していても。AIが作った言い回しは、失格。そう書いてありました。
消えているのは、下手なところではありません

AIに直してもらうと、たしかに読みやすくなります。
でも、直されたあとの文章をじっと見てみてください。なくなっているのは、間違いだけじゃないんです。
あなたがいつも使っている、ちょっと不格好な言い方。同じことを2回言ってしまう癖。語尾が急に短くなるところ。
そういうものが、まとめて、きれいに、ならされています。
そこが、お客さんが「あなただ」と分かっていた部分でした。
良く見えるから、使ってしまう

やっかいなのは、AIが出してくる言い回しが、たいてい良く見えることです。
読んだ瞬間に「あ、こっちのほうがいいな」と思う。思ったときには、もう貼りつけています。
だからあの人のルールは「使わないほうがいい」ではなくて「使わない」なんですね。
良いか悪いかで、その場で決めようとすると、毎回こちらが負けるからです。
AIには、場所だけ言わせる

ここから先は、記事に書いてあるやり方ではなくて、僕なりの落とし込みです。
やることは、かんたんです。お願いを1回だけ、作り変えます。
これまで、たぶんこう打っていました。
> この文章を、読みやすく直してください。
これを、こう変えます。
> この文章を読む人が、つまずきそうなところを、上から順に、番号をつけて教えてください。直した文は書かないでください。
最後の1文を、忘れないでください。「直した文は書かないでください」を入れておかないと、頼んでいなくても書いてくれます。
返ってくるのは、こういうものです。
> 3番。ここは1つの文に2つのことが入っていて、息が続きません。
> 5番。ここは、前の段落と同じことを言っています。
場所を教えてもらっただけで、まだ1文字も直っていません。それで、いいんです。
つられないために、見ないで書く

ここが、いちばん大事なところです。
指摘を画面に出したまま直そうとすると、つられます。近くにAIの書いた言葉があると、人はそれを使ってしまうんです。
だから、番号と場所だけを、手元のメモに書き写します。
> 3番、息が続かない。
> 5番、くり返し。
これだけです。書き写したら、AIのほうは見ないで、自分の文章だけを開いて直します。
3番のところに来たら、自分で息継ぎを入れる。5番のところに来たら、後ろを1つ消す。
そうやって出てきた言葉は、全部あなたのものです。
全部は、採らなくていい

指摘は、全部採らなくていいです。
さっきのプタチェクさん、自分のこの記事をAIに読ませたら「20パーセント長すぎる」と言われたそうです。
それで、どうしたか。
> たぶん、それは正しい。でも直さない。僕は僕でいく。
そう書いて、そのまま出しています。
採らないと決めたものは、理由を1行だけ残しておいてください。「長いのは、ゆっくり読んでほしいから」。
この1行が5つ、10と貯まったころには、それがあなたの書き方の芯になっています。
顔を出さずに発信している人には、もっと効きます

顔を出さない発信は、文字がそのまま顔です。
写真も出していない、声も出していないなら、読んだ人があなたを感じ取れるところは、言葉の並びしかありません。
そこをAIの言い回しに置きかえてしまうと、上手なんだけれど、誰なのか分からない人になります。
きれいさは、あとからいくらでも足せます。でも、あなたの言い方は、あなたしか持っていません。
きょうの一歩

きょう出す予定の文章を、1つ開いてください。
それをAIに貼って、さっきの文をそのまま打ってみてください。
> つまずきそうなところを、上から順に、番号をつけて教えてください。直した文は書かないでください。
返ってきた番号を、メモに書き写す。きょうは、そこまでで十分です。
動画では、この流れを声と絵で1本にまとめています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
↓
同じような話をしている場所もあります
気になったら、のぞいてみてください
↓
—
元ネタ: Thomas Ptacek「How To Write With An LLM」(2026年9月17日) https://sockpuppet.org/blog/2026/09/17/how-to-write-with-an-llm/ / 日本語での紹介は GIGAZINE「自分らしさを損なわずにAIで文章を手直しするための2つのルール」(2026年9月24日) https://gigazine.net/news/20260924-ai-writing-copyeditor/
※記事にある手順は「AIに問題点を指摘させる→指摘ごとに自分で書き直す→前と後を、経緯を知らない別のAIに見せて比べさせる」の3つです。この記事の中の「頼み方の文」と「見ないで直す」は、僕なりの落とし込みです。


コメント