
AIにお願いするとき、最後に「念のため見直してください」と書いていませんか。大事なところには「重要」と付けて、「絶対に」「必ず」と重ねる。
ちゃんと伝わるように、と思うほど、お願い文は長くなっていきます。その書き方が、新しいAIには、かえって回り道になることがある。AIを作っている会社が、そう書いていました。
作った会社が挙げた、逆効果の書き方

2026年9月8日(米国時間)、クロードというAIを作っている会社アンソロピックが、AIを仕事の仕組みに組み込む人に向けて、お金を抑えながら答えの質も落とさない方法をまとめた記事を出しました(Anthropic公式ブログ/@IT 2026年9月18日)。
その中に、新しいAIには逆効果になることがある書き方が6つ並んでいました。僕たちのお願い文にも出てきそうなものを、3つ紹介します。
- 念押し: 「作業を見直してください」「答える前に2回確かめてください」。新しいAIは言葉どおりに受け取ることが多く、本当に2回やるぶん、手間とお金がかかることがあります
- 強調: 「できるかぎり徹底して」「重要、必ず、いつも、こうしなさい」。答えが長くなったり、よけいな作業が増えたりすることがあります
- ぶつかる決まりごと: 「決まりの中なら返金して」と「上の人に確かめるまで返金しないで」が同じお願い文に入っていると、新しいAIはどちらも言葉どおりに守ろうとします
試してみたら、どうなったか

アンソロピックは、会社のお客さま窓口をAIに任せたときの出来を測るテストで、実際に試しています。きれいなお願い文に悪い書き方を1つずつ混ぜて、6種類のお願い文を作りました。
「2回確かめて」の版では、返金のたびに同じ注文の確認を2回ずつやっていました。「徹底して」の版では、いらない調べものがずいぶん増えていました。ぶつかる決まりごとの版では、本当は返すべきだった返金を4件、お客さまに確認を求めたまま止めていました。
悪い書き方を取りのぞいたところ、6種類の平均で、かかるお金は14.6パーセント減り、答えの正確さは5.3パーセント上がりました。
ただ、断り書きが2つあります。これは会社がお客さま窓口の仕組みで測った試験で、ふだん僕たちが使う画面で同じ数字が出るとは限りません。それに、正確さが上がった理由には、古い設定がはじかれていたという、仕組みの側の話もふくまれています。ここから先は、僕なりの使い方です。
どうして、ていねいに頼むほど回り道になるのか

昔のAIは、お願いしたことを、ときどき聞きもらしました。だから、大事なことは2回書く、「重要」と付ける、「念のため見直して」と添える。それが効いていた時期がありました。
ところが、AIのほうが先に変わりました。言われたことを、言われたとおりにやる力が、ぐっと上がったんです。そうなると、念押しは、そのまま「やることの一覧」に入ってしまいます。
仕事をよく分かっている人に「2回確かめてね」と頼めば、その人は急ぎの日でも、本当に2回確かめてくれます。親切のつもりの一言が、相手の仕事を増やしている。同じことが、AIの側でも起きていました。
送る前に、お願い文から消す3種類の言葉

お願い文を書いたら、送る前に3種類の言葉を探します。
1. 念押しの言葉(念のため・見直してから・2回確かめて)→ 消します
2. 飾りの強調(重要・絶対に・必ず・徹底的に・できるだけ詳しく)→ 消して、何が大事だったのかを、ふつうの言葉で1つだけ残します。たとえば「重要、金額をまちがえないで」は、「金額は、下に貼った見積もりの数字だけを使ってください」に変えます
3. ぶつかる注文(ていねいに、でもくだけた感じで/詳しく、でも短く)→ どちらか1つに決めてから送ります
消していいもの、消さないもの

言葉を消しても、決まりごとまで消すわけではありません。僕がAIの秘書に渡している指示書にも、「絶対にやらないこと」という見出しがあります。中身は、ファイルを消さない、お金のことは決めない、といった線です。これは消しません。
見るのは「絶対」という字があるかどうかではなく、その後ろに具体的な線が書いてあるかどうか。線が書いてあれば残す。気持ちだけなら消す。
前と後で、お願い文はこう変わる

教室のお休みを知らせる文をAIに頼むとします。
- 前: 「重要。絶対に失礼のないように、ていねいに、でもくだけた感じで、できるだけ詳しく、でも短く書いてください。念のため、書いたあとに2回見直してください。」
- 後: 「9月23日の教室を、お休みするお知らせを、いつものお客さま向けに、3行で書いてください。」
短くなったぶん、AIが迷う場所も減っています。顔を出さずに発信していると、文章を作る回数はどうしても増えます。1回ごとの回り道は小さくても、毎日のことなので積もっていきます。
今日の一歩

最近AIに送ったお願い文を、1つだけ開いてください。そして「念のため」「重要」「絶対」「必ず」の4つの言葉を探して、印をつけてみてください。消すのは、あとでかまいません。まずは、いくつ入っていたかを数えるだけです。
ていねいさは、言葉の数ではなく、どこを見ればいいかを渡すことに置きかえていけます。僕はこう思うけど、あなたはどう思いますか。
動画では、前と後のお願い文を声でも聞けます。
出典: Reducing cost and improving performance with Claude Platform(Anthropic 公式ブログ 2026年9月8日)https://claude.com/blog/reducing-cost-and-improving-performance-with-claude-platform / AIへの「念のためプロンプト」はもう逆効果(@IT 2026年9月18日)https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2609/18/news040.html


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