AIを使っても「変わった気がしない」人へ。1回で浮いていたのは4分でした

AI活用

AIを使ってはみた。でも、正直に言うと、変わった気がしない。

そう思って、そのまま開かなくなった。そんな経験、ありませんか。

僕は、これは意志の問題ではないと思っていました。ただ、うまく説明できずにいたんです。

2026年9月7日に出た福島県の記事を読んで、その説明がやっと数字で見つかりました。

前向きな職員を選んで、研修までして、それでも割れた

福島県は2025年度、生成AIの有料アカウントを合計100件用意して実証しました。NTT東日本が提供する生成AIサービスが50、Microsoft 365 Copilotが50です。

実際に使ったのは約50人。1人に2種類のアカウントを配って、使い比べてもらったそうです。

面白いのは、集めた人の選び方でした。

くじ引きではありません。各部局で行政改革などを担当する職員や、デジタル変革課の職員など、「比較的デジタルリテラシーが高く、積極的に使うことが期待される」人を、わざわざ選んでいます。

そのうえで、ハンズオン研修まで開いています。

前向きな人を選んで、道具を配って、教えた。ここまでやったわけです。

結果は良いものでした。アンケートでは約8割が業務効率化の効果を実感し、約7割が業務の品質向上を実感したと答えています。

ところが、同じ実証の中で、日常的に使うヘビーユーザーと、ほとんど使わない職員に二極化しました。

県が利用状況を分析しても、「特定の部署だから利用が多い」という明確な相関は見られなかったそうです。同じところにいても、割れていた。

1回で浮いていたのは、4分でした

ここからが、僕がいちばん引っかかったところです。

同じ記事に、実際にどれくらい時間が浮いたのかが書いてあります。

1人1回当たりの平均削減時間は、検索業務が4.0分、文書作成業務が5.0分、要約業務が6.7分。

もう一度書きます。1回で、4分です。

うまくいっている側の人でも、1回ぶんはこれくらいなんです。

これを見て、あ、そうか、と思いました。

「変わった気がしない」の正体は、たぶんこれです。効いていないのではなく、1回ぶんが小さい。

4分って、感じ取れないですよね。お湯がわくのを待っているあいだに終わってしまう長さです。

使い道の1位も、地味でした

同じ記事には、何に使っていたかの割合も出ています。

いちばん多かったのは「文書表現の修正」で43%。次が「情報検索・調査のサポート」で38%、その次が「Excelデータ整理・分析」で35%。「文書の下書き作成」と「メール文面の作成・要約」がそれぞれ27%でした。

すごい使い方をしている人は、いなかったんです。上のほうは、全部、地味な用事でした。

今日からできること3つ

ここからは、記事の再現ではなく、ひとりで仕事をしている人向けの、僕なりの置き換えです。

① 「4分の用事」を1つだけ決める

大きく変わりそうな用事を探さないでください。逆です。

今週、2回以上やった、文字を打つ用事。そこから1つ選びます。お客様への返信でも、告知の文でも、教室の案内でもいいです。

決めたら、しばらくはそこだけに渡す。毎回、同じところです。

② 手応えを探すのをやめて、回数のほうを見る

スマホのメモでも、カレンダーでもいいです。渡した日に、しるしを1つ。

月に20回たまったら、4分かける20で、80分です。

1回では気づかない大きさが、しるしの数でだけ、見えるようになります。

③ うまい頼み方を、覚えようとしない

福島県も、現場の職員に高度なプロンプトの技術を求める必要はない、と言っています。自分が何をしたいのかを、普通の言葉で説明すればいい、と。

たとえば、こう打ちます。

「この文、意味は変えないで、読みやすく直して。」

これだけです。かっこいい言い方は要りません。

県が、割れたあとにやったこと

もうひとつ、いいなと思ったところがあります。

県は、使わない人を説得しませんでした。

かわりに、よく使っている職員のノウハウやプロンプト、活用例を、ほかの職員がそのまままねできるように共有したそうです。

そして2026年度、使わない人がいるままで、約6000人が使える環境に広げています。入力内容を常時監視することもしていません。過度な監視は職員を萎縮させ、利用を妨げる可能性があるから、と書かれていました。

やる気を上げようとせずに、まねできる形のほうを配ったわけです。

ここが、ひとりでやっている僕らには、いちばん足りていないところなんですよね。まねる相手が、家の中にはいないので。

だから、外から借りるしかない。今日いちばん言いたいのは、ここです。

まとめ

  • 福島県は2025年度、生成AIの有料アカウントを100件用意し、約50人で実証した。選ばれたのは前向きな職員で、研修もあった
  • 約8割が業務効率化を、約7割が品質向上を実感。それでも利用は二極化し、部署では説明がつかなかった
  • 1人1回当たりの平均削減時間は、検索4.0分、文書作成5.0分、要約6.7分。うまくいっている側でも1回ぶんは4分
  • だから探すのは、大きな用事ではなく「4分の用事」。1つ決めて、毎回そこに渡して、渡した日にしるしを1つ足していく
  • 県は二極化のあと、説得ではなく「まねできる形」を配り、約6000人へ広げた

腕を上げる話は、一度もしていません。増えるのは、しるしの数だけです。

僕はこう思うけど、あなたはどう思う。

動画では、この話を6分弱で、順を追って話しています。

くわしくはYouTubeで話しています

よかったらみてください

↓

同じように、ひとりでAIを触っている人が集まっているオープンチャット「おうちAI研究所」もあります。だれかの「4分の用事」が、そのまま自分の一歩になることがあります。

気になったら、のぞいてみてください

↓

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出典: キーマンズネット(ITmedia)「M365 Copilotを配っても『使われない』 でもAI活用が進んだ福島県庁の”逆張り”戦略」(2026年9月7日)

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