長い録画や、長い記事を、AIにまとめてもらったことはありますか。
出てきたまとめを読んで、ああ、そういう話だったのか、と分かった気になる。あれです。
きょう書くのは、その、読んだあとの話です。
6日前に僕はこのブログで、見ていない録画は全部残したまま、中身だけ受け取ればいい、という話をしました。その話を引っこめるつもりはありません。ただ、そのあとに出てきた研究を読んで、順番を1つ足したほうがいいな、と思ったんです。

328人に起きたこと
ジョージタウン大学とワシントン大学の研究チームが、2026年9月23日に論文を公開しました。まだほかの研究者の点検を受けていない、出たばかりの論文です。
やったことは、単純です。
まず、人に25秒の短い動画を見てもらいます。車と歩行者の事故の動画です。自分の目で、最後まで見ます。
それから24時間から48時間あけて、こんどはAIが作ったまとめのほうを読んでもらう。
そのあとで、最初に見た動画について質問します。
参加したのは328人。結果はこうでした。
話の合っているまとめを読んだ人は、83.6%が正しく答えられました。間違いの入ったまとめを読んだ人は、44.8%でした。
自分の目で見たはずのことなのに、あとから読んだまとめのほうに、記憶が引っぱられたわけです。

記憶が、まるごとあやしくなるわけではありません
面白いのは、ここからです。
まとめが触っていないことについては、みんなちゃんと覚えていました。まとめと関わりのない11個の質問では、正答率は91.4%。事故が昼間だったか夜だったかは、96.6%の人が当てています。
つまり、まとめが触ったところだけが、まとめのほうに寄っていく。

こわいのは、間違いよりも「抜け」でした
この研究では、AIが作ったまとめそのものも調べています。よく使われている2つのAIに、同じ動画をまとめさせました。
はっきり間違って書いてあったところは、中心的なことがらのうち6.1%。1本あたり、だいたい1個です。
少ないな、と思いますよね。僕もそう思いました。
でも、問題はそっちではありませんでした。抜け落ちのほうです。
作られたまとめの全部に、抜けがありました。1本の例外もなく、です。中心的なことがらのうち、51.6%がまとめに入っていませんでした。
そして、1本を除いて全部、つまり95%のまとめが、その動画でいちばん中心の出来事を丸ごと落としていました。
いちばん大事なところが、書いていない。
書いていないことは、読んでも気づけません。さきほどの44.8%を思い出してください。はっきり書いてある間違いでさえ、半分以上の人が引っぱられたのだから、書かれていないものは、なおさら比べようがありません。

「AIが書いたものです」では、防げなかった
この研究では、まとめを渡すときに「これはAIが書いたものです」と伝えた人たちと、「これは人が書いたものです」と伝えた人たちを分けています。
結果は、変わりませんでした。AIをどれくらい信用しているかでも、変わりませんでした。
AIは間違えることがあるから気をつけよう。あの心構えでは、止まらなかった、ということです。
気をつけよう、では届かない。だから、やり方のほうを変えます。

僕が足す、順番のこと
ここから先は、研究に書いてあることではありません。論文を読んで、僕がきょうから足すことにした順番です。そこは分けて読んでください。
足すのは、順番だけです。
AIのまとめを開く前に、自分が覚えていることを、先に打ち込んでおく。
長い打合せのあとなら、いちばん心に残ったこと。講座の録画を見たあとなら、へえ、と思ったところ。
数は決めません。思い出せるだけでいいんです。2つでも、5つでも。うまく書こうとしなくていい。
打ち終わってから、AIのまとめを読みます。
すると、まとめに入っていないことが、自分が打ったほうに残っている。
抜けは、読んでも気づけません。でも、自分の言葉と並べると、そこだけ浮いて見えます。
道具は、そのままでいいんです。まとめてもらうのをやめる必要はありません。開く順番を、入れかえるだけです。

研究が言っていないところ
いいことばかり書くと嘘になるので、分からないほうも出しておきます。
この実験で使われたのは、25秒の交通事故の動画です。講座の録画や、打合せの記録や、長い記事のまとめで同じことが起きるかどうかは、この論文では調べられていません。
日本語のまとめでも、試されていません。
それから、さきほどの順番の話。あれで防げる、と研究が言っているわけでもありません。防げるかどうかは、これから僕も確かめるところです。
ここまでが分かったこと。ここから先は、まだ誰も確かめていないことです。

まとめ
AIのまとめは、嘘をつくからあぶない。そういう話ではありませんでした。
まとめは、短くします。短くするというのは、落とすということです。そして、落としたところは、こちらの頭からも、静かに落ちていく。
落ちたことには、あとから気づけません。だから、落ちる前に、自分の側に少しだけ残しておく。それだけの話です。
次に何かをAIにまとめてもらったら、出てきたまとめを、すぐには開かないでください。先に、自分が覚えていることを打ち込む。それから開く。
読んでみて、自分が打ったほうにあって、まとめに無かったことがあったら、それが、あなたにとって大事だったところです。
僕はこう思うけど、あなたはどう思う。

動画では、この話を6分ほどでしています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
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ひとりで仕事をしていると、こういう確かめ方を話せる相手が、なかなかいません。おうちAI研究所という集まりを、ラインのほうでひらいています。気になったら、のぞいてみてください。
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出典: Mattea Sim, Yael Eiger, Tadayoshi Kohno「AI-Enabled Human Memory Manipulation: Misleading AI-Generated Summaries Distort Human Memory」arXiv:2609.28820(2026年9月23日)https://arxiv.org/abs/2609.28820


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