朝から夕方まで、家で1人で仕事をしている日。その日いちばんたくさん話した相手が、AIだった。そんな日、ありませんか。
文章の下書きを頼んで、値段の相談をして、気づいたら、きょうの気持ちまで聞いてもらっている。AIは、いつでも、何度でも、いやな顔をせずに聞いてくれます。だから、そうなる人もいると思います。

1年あけて、もう一度聞いた調査
アメリカのスタンフォード大学や、カーネギーメロン大学などの研究者が、ある調査の論文をネットに公開しました。
調べた相手は、AIのキャラクターとおしゃべりするアプリ「Character.AI」(キャラクターAI)を使っている人たちです。最初に1182人に答えてもらい、およそ12か月後に、439人に、もう一度答えてもらっています。
聞いたのは、AIとどれくらい関わっているか。AIを、友だちや相手役のように扱っているか。悩みや気持ちを、どれくらいAIに打ち明けているか。それから、家族や友だち、仕事の仲間と、顔を合わせて過ごす時間が、1日にどれくらいあるか、です。

分かったこと
最初にAIと深く関わっていた人ほど、1年たっても深く関わり続ける傾向がありました。そして、深い関わりが続いている人ほど、幸せだと感じる度合いが低い傾向がありました。
ここは、AIを使ったから不幸になった、と言い切れる話ではありません。そういう傾向が見えた、という調査です。
大事なのは、その先です。その結びつきは、主に、人と顔を合わせる時間の少なさで説明できた、と論文に書かれています。AIに向けた時間のぶん、人と過ごす時間が減っていく。そこが問題ではないか、と研究者たちは見ています。
記事によると、研究チームは、最初からおしゃべりのためにAIを使う人だけの話ではない、とも述べているそうです。調べものや仕事の道具として使い始めたAIが、だんだん相談相手になっていくこともありうる、と。ただ、調べたのはキャラクターAIを使っている人で、ChatGPTのような使い方の人を調べたわけではありません。

2つの問いで、自分の様子を見る
じゃあ、自分はどうなのか。頭の中で、ざっくりでいいので、2つ思い出してみてください。
- きのう、家族や友だち、仕事の仲間と、顔を合わせて過ごしたのは、だいたいどれくらいでしたか(調査でも聞かれていたことです)
- きのう、気持ちや悩みを打ち明けた相手は、人でしたか。それとも、AIだけでしたか(こちらは僕が足した問いです)
顔を合わせた時間がほとんどなくて、打ち明けた相手もAIだけ。そんな日が続いていたら、それが、いまの自分の様子です。責めることではありません。家で1人で仕事をしていたら、そういう週もあります。

相談の出口を、人に向ける
AIを使う時間を減らすことが、目的ではありません。僕は、人に向ける1つを足すほうが、続くと思っています。
AIに何か相談したら、閉じる前に、こう聞いてみてください。
「この話の続きを人に聞くなら、誰に、何を聞くといいですか。」
たとえば、新しい商品の値段をAIといっしょに考えたなら、「前からのお客さんに、この値段を高いと感じるか聞いてみましょう」「同じような仕事をしている知り合いに、相場を聞いてみましょう」のような答えが返ってきます。
いくつか挙がったら、1つだけ選んで、本当にその人に聞きに行く。身近にいなければ、家族でも、友だちでもかまいません。できれば、顔を合わせて。調査で少なかったのは、そういう時間でしたから。
こうすると、AIとの相談が、人に会う用事に変わります。

今日の一歩
きょう、AIに何か相談したら、閉じる前に、さっきの1行を聞いてみてください。挙がった中から1つ選んで、今週のうちに、誰か1人に聞いてみる。それだけです。

まとめ
AIに話す時間を、無理に減らさなくてもいい。僕は、そう思っています。そのかわり、相談の出口を、人のほうに向けておく。そうすれば、AIに相談するたびに、人に会う用事が1つ生まれます。
YouTubeで説明してます。よかったらみてください。
人とAIの話ができる場所として、LINEのオープンチャット「おうちAI研究所」があります。気になったら、のぞいてみてください。
▼出どころ
- ITmedia NEWS「“AIキャラチャット”に没頭した人の予後、スタンフォード大などが1年の追跡調査 依存強まる傾向に」(2026年10月9日)
- 論文「Living with AI Companions: Sustained AI Companionship Predicts Lower Well-Being Through Lower Human Interaction」(arXiv:2609.07243)


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