
やってみたいな、と思ったことがある。
でも、うまくできないから、いまはやめておこう。そう決めたまま、置きっぱなしになっているもの。
年に1回か2回、思い出しては、またしまう。そういうものが、ひとつくらいありませんか。
きょう外しにいくのは、やる気ではありません。「うまくできるようになってから」という、順番のほうです。
「もういい歳だから」は、年齢の話ではありませんでした

もういい歳だから。今さら始めても。よく聞く言葉です。僕も、言ったことがあります。
ただ、よく見ると、年齢のことを言っていないんですよね。
言っているのは、こっちです。下手なところを、人に見られたくない。
子どもの頃も、下手でした。さかあがりも、笛も、字も。なのに、平気で人の前でやっていました。
うまかったからではありません。下手なままの自分を置いておける場所が、まわりにあったからです。教室。公園。家の食卓。途中のものを出しても、誰も何も言わない場所です。
大人になると、その場所が、ひとつずつ減っていきます。
仕事は、できあがったものを出すところ。家族に見せるのは、なんだか気がひける。友だちに見せると、今度は応援されてしまって、余計に引き返せなくなる。
だから、頭の中だけで温めるようになります。
温めているあいだは、下手になりません。そのかわり、うまくもなりません。
やる気の問題ではなかったんです。出す場所の問題でした。
うまさと、届くことは、別々に動いていました

ここは、僕自身の話です。
少し前に、オンラインの集まりに出ました。23人が、1人5分ずつ話す会です。
終わったあとに、数字が出ました。人をいちばん連れてきたのは僕で、知り合いではない人がそのあと連絡先を登録してくれた数も、23人の中で1位でした。
自慢したいのではなくて、ここからが本題です。
その日の記録を全部もらったので、順番に聞き直しました。聞き終わって、正直に思ったことがあります。
いちばん話すのが下手なのは、僕でした。
ほかの人はみんなきちんとしていて、練習したんだろうな、と分かる話し方です。なのに、聞き終わったあと、何も残っていなかった。
その日から、「うまくなってから」を、あまり信じなくなりました。
うまさと、届くこと。ひとつづきのものだと思っていたのに、別々に動いていた。
言い方を変えると、うまい、の合格ラインを決めていたのは、いつも自分だけだった、ということです。
下手なままを出せる場所が、1つ増えました

出す場所が減った、と書きました。いまは、それが1つ増えています。AIです。
AIは、途中のものを何回見せても、何も思いません。うまいとも、下手とも言いません。そこが、この道具のありがたさだと思っています。
手順は3つです。
1つ目。 やってみたかったのに、やらなかったことを1つだけ、そのままAIに打ちます。きれいな文章にしないでください。「昔、お菓子を教える仕事をしてみたかった。でも今さらかな、と思ってる」。これだけで大丈夫です。整えないほうが、あとで効きます。
2つ目。 ここで聞かないでほしい言葉があります。「私にできますか」です。
これを聞くと、条件と、気をつけることが返ってきます。ぜんぶ正しいのですが、読んでいるうちにその日が終わります。
かわりに、こう頼んでください。「もう始めたことにして、1回目に私がやることを教えてください」。できるかどうかを飛ばして、いきなり1回目の中身を出してもらう、ということです。
3つ目。 1回やってみたあとが、いちばん大事です。うまくできたかを聞かないでください。
「うまくできていないのは分かっています。直すところではなく、続けられそうなところだけ教えてください」。こう見せます。
直すところを聞くと、直しきるまで2回目が来ません。続けられそうなところを聞くと、2回目が来ます。続いた人と続かなかった人の差は、たいていここでした。才能ではなくて、2回目が来たかどうかです。
きょうの一歩

しまったままになっているものを、1つだけ選びます。
それを、そのままの言葉でAIに打つ。きょうは、ここまでで終わりです。
うまく書かないでください。うまく書けたら、それはもう、きょうの練習になりません。
始められなかった理由は、やる気でも、年齢でもありませんでした。うまい、の線を引く人が、自分しかいなかったからです。線を引く人が自分しかいないと、その線はどこまでも上に動きます。だから、いつまでも届きません。
待っていたのは、自信ではなかったと思うんです。待っていたのは、下手なままの自分を置いておける場所のほうでした。
その場所は、探しにいかなくても、きょう1つ作れます。
動画では、この流れをもう少しゆっくり話しています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
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▼チャプター
0:00 「もういい歳だから」で、止めたままのもの
0:39 1つ目|年齢の話では、ありませんでした
1:40 2つ目|23人の中で1位。でも、いちばん下手でした
2:38 3つ目|下手なままを出す場所が、1つ増えました
4:04 結論|線を引く人が、自分しかいなかった
途中のものを、途中のまま並べておける場所も作りました。おうちAI研究所という名前です。仕上がった話より、まだ下手なままの話のほうが、読んだ人の手が動く場所です。
気になったら、のぞいてみてください
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