ハンバーガー1個の値段が、2マイル先にある同じチェーンのお店で、190円ちがっていた。
そんな話を読みました。どちらも、会社が直接やっているお店です。
値段を出していたのは、AIでした。

AIが「最適価格」を出している
ロイターという通信社が、2026年9月29日に報じた話です。
マクドナルドが、AIで値段を決める仕組みを、アメリカと一部の海外市場で広げています。「プライシング・エンジン」と呼ばれていて、日本語にすると、値段を出す機械です。
1万4000店近くのお店から、1日ぶんの売り買いのデータが100万件単位で上がってきます。それをずっと分析して、お店ごと、メニューごとに、値段をひとつ出す。
その値段のことを、会社は「最適価格」と呼んでいます。

2マイル離れて、190円ちがう
実際どうなったか。
カリフォルニア州のフレズノに、直営のお店が2つあります。2マイル、3.2キロしか離れていません。
一方のビッグマックは5ドル69セント、日本円で約890円。もう一方は6ドル89セント、約1080円でした。差は約190円。21%高いほうがあるわけです。
同じ会社が直接やっている、同じ商品です。それでも190円ちがう。

その機械が見ていたもの
材料のひとつが、これでした。
「その地域のお客さんが、いくらまで払う気があるか」。
加盟店の人が見る画面には、こう出るそうです。「あなたのお店は、値段に対して中程度の感度を示しています」。
中程度、というのは、上でも下でもない真ん中のことです。この地域の人が値段にどれくらい反応するか。それを機械が真ん中と見た、というところまでが、画面に出ていることです。
近くのバーガーキングやウェンディーズが、ネットに出している値段も材料に入っています。
だから、この「最適」の材料には、「いくらまでなら、まだ買ってもらえるか」が入っています。原価だけを見て決めた値段ではない、というところまでは、はっきりしています。
会社にとっては、まさに最適です。買う人にとっては、最適ではない。
同じ「最適」という言葉に、正反対の向きが入っている。ここでした。

値上げする側の事情も、見ておく
念のため言っておくと、これをひどい会社の話、で終わらせたくはありません。
外食のお店のコストは、2019年から36%上がっています。値段を上げないとお店が続かない、というのも本当のことです。
マクドナルドも「これは道具であって、命令ではありません」と説明していて、最後に値段を決めるのは加盟店だと答えています。
ただ、加盟店のオーナーの何人かは、使うように圧力を感じた、とロイターに話しています。カレン・キングさんという方は、値段について「もう、選ぶ余地はほとんどありません」と言っています。
こういうやり方を「監視型価格設定」と呼ぶ人もいて、法律で規制しようという話まで出ています。

ここから先は、僕が書き出した3つ
ここまでがニュースです。ここから先は、ロイターの記事に出てくる話ではありません。この記事を読んで、僕が自分の手元用に書き出した3つです。
なぜこの話を持ってきたか。僕らも毎日、まったく同じ言葉を受け取っているからです。
AIに「どっちがいいと思う?」と聞く。返ってくるのは「こちらがおすすめです」。「いちばんいいのはこれです」。
その答え、間違ってはいないんです。読むと、なるほど、とも思う。
でも何日かたってから、あれは僕の側に立った案じゃなかったな、と思うことはありませんか。
それ、あなたの読み方が足りなかったんじゃないんです。矢印に、方角が書いてなかったんです。

1つめ 自分はどちらの側にいるのか、を書く
聞く前に、自分はどちらの側にいるのかを1行だけ書きます。
画面にはこう打ちます。
> 私はこれを買う側です。売る側ではありません。買う側にとっていい順で、3つ並べてください。
これだけで、返ってくる3つの中身が変わります。売る人のことばが混ざらなくなります。

2つめ 「いちばん得をするのは誰ですか」
出てきた案は、そのまま採らずに、1つ質問を足します。足す質問は、これだけです。
> この案で、いちばん得をするのは誰ですか。
3つの案が、全部同じ相手を向いていたら、僕の聞き方が偏っていた、と考えます。もう1回、1つめに戻ります。
得をするのが自分だと返ってきたら、その案は採っていい。そこまで確かめてから採ると、あとの引っかかりが出てきません。

3つめ 「どんな人には」を1行だけ添える
3つめは、あなたが出す側になるときの話です。
発信で「これ、おすすめです」と書くとき、「どんな人には」を1行だけ添えます。
「パソコンが苦手で、ひとりでやっている人には、こちらがおすすめです」。この1行があるだけで、読んだ人は自分のことか、自分のことじゃないか、その場で決められます。
おすすめを出す側が向きを書いてくれると、受け取る側は楽なんです。僕らがAIにしてほしかったことを、自分がやる番です。

今日の結論
「最適」「おすすめ」「いちばんいい」は、方角の書いていない矢印です。
向きは、聞く人が書いて渡すもの。
いま開いているAIの画面に、直前の答えが1つ残っていると思います。そこに「この案で、いちばん得をするのは誰ですか」と打って、送ってみてください。1分で終わります。

まとめ
ハンバーガーの値段を出していた機械は、ちゃんと計算していました。間違ってもいませんでした。ただ、その計算はお店の側に立っていた。
僕らが受け取る答えも同じです。立っている場所を書いてもらえれば、答えは使えるものに変わります。書いてもらうには、こちらが先に自分の側を渡すしかない。
僕はこう思うけど、あなたはどう思う。
動画では、打つ文をそのまま画面に出しながら話しています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
↓
出典: GIGAZINE「マクドナルドはAI価格設定システムで店舗ごとの『最適価格』を算出している、バーガーキングなど他店舗の価格も考慮」(2026年9月30日) https://gigazine.net/news/20260930-mcdonalds-push-ai-price-big-mac/ / 原典: ロイター “Inside McDonald’s push to have AI price your Big Mac”(2026年9月29日) https://finance.yahoo.com/news/inside-mcdonald-push-ai-price-100231253.html


コメント