
AIに「3行で書いてください」とお願いしたのに、返ってきたのは10行。しかも、こちらが言っていないことまで書いてある。
その瞬間、ちいさくイラッとする。ここまでは、誰でも同じです。
問題は、そのあとでした。「こんなことで腹を立てる私は、心がせまいんじゃないか」「もっと上手にお願いできない私が、悪いんじゃないか」。矛先が、機械ではなく自分のほうへ向いていく。
きょうは、その向きを変える話です。
腹が立つのは、順番の1つ目が来ただけ

順番の話から、はじめます。
何かが起きると、まず気持ちが来ます。ここは止められません。そして少し遅れてから、「ああ、ここが伝わっていなかったのか」という別の見え方が重なってきます。
気持ちが先。見え方はあと。これがもともとの形です。
しんどくなるのは、1つ目を飛ばそうとしたときでした。腹が立った1秒後に「まあいいか」へ行こうとすると、まだ来ていない見え方を、無理やり先に借りてくることになります。
借りてきたものは、身につきません。だからまた次の日、同じところで同じように腹が立ちます。
腹が立ったのは、正常です。順番の1つ目が来ただけなんです。
押さえこんだぶんは、消えていません

「怒っちゃいけない」と思う。思うほど、その気持ちは長く残ります。
理由は単純で、外に出していないものは、どこにも行かないからです。胸のあたりに、そのまま置いてあります。
そして次に似たことが起きたときに、置いてあったぶんまで、まとめて出てくる。
「私、こんなに怒りっぽかったかな」。そう思った日は、たいてい、前の日の置きみやげが乗っています。
だから、消さなくていいんです。
やり方1:イラッとした瞬間に、返事を打たない

やることは、これだけです。
画面は閉じなくていいです。立ち上がらなくてもいいです。指をキーボードから離す。スマホなら、いったん机に置く。
そのまま1分。お茶をひと口飲むと、だいたいそれくらいです。台所まで歩いて戻ってくるのでも、かまいません。
タイマーも要りません。数えなくて大丈夫です。
待っているあいだ、気持ちを消そうとしないでください。「あー、いま腹が立ってるな」と、そのまま感じていていい。そのうちに、少しずつ静かになってきます。
やり方2:1分たったら、同じ画面をもう一度見る

さっきまでは、こう見えていたはずです。「また直さなきゃ」。
1分あけてから見ると、こうなります。「ああ、3行という言葉が、どこにもかかっていなかったんだな」。
画面は、1文字も変わっていません。変わったのは、こちらの距離だけです。
近くで見ているあいだは、ズレが全部、自分の負担に見えます。少し離れてから見ると、同じズレが、次に使える手がかりになります。
これを根性でやろうとしないでください。1分あければ、勝手にそうなります。
やり方3:ズレたところを直して、1行だけ足しておく

1分たったら、ズレたところはきちんと直します。
そして、もうひとつ。次に同じズレが起きないように、お願いの文に1行だけ足しておきます。足すのは、伝わっていなかった、その1点だけです。
長さが違ったのなら「3行におさめてください。4行目からは要りません」。
書いていないことまで書かれたのなら「私が渡した中に書いていないことは、足さないでください」。
読む人がずれていたのなら「はじめて来た人に向けて書いてください」。
1行です。全部を書き直す必要はありません。そしてこの1行は、次のお願いのときに、そのまま先に貼れます。
腹が立った1回が、次から使える1行に変わります。
「まあいいか」で放っておくのとは、別物です

ひとつだけ、はき違えないでほしいことがあります。
これは「まあいいか」で放っておく話ではありません。放っておくのと、落ち着いてから直すのは、まったくの別物です。
直す中身は、どちらも同じです。変わるのは、直すときの自分の状態だけ。
でも、そこが変わると、出てくる文章が変わります。腹が立ったまま打った1行は、短くて、とがっています。そして、それを読むのは、機械だけとは限りません。
ニトリ27年。その場で言った日と、持ち帰った日

僕はニトリという会社に27年いました。部下のまちがいを見つけることは、いくらでもありました。
見つけたその場で言った日もあれば、一度持ち帰って、次の日に言った日もあります。
言った中身は、どちらも同じです。同じなのに、伝わり方はまるで違いました。
その場で言った日は、たいてい、そこで話が終わりました。持ち帰った日は、次にどうするか、という話になりました。
言葉をやさしく選び直したわけではありません。あいだに、時間があったか、なかったか。違いは、そこだけでした。
いま思えば、僕が持ち帰っていたのは、部下のまちがいではありませんでした。自分の気持ちのほうを、持ち帰っていたんです。
ひとりで仕事をしている人ほど、効きます

会社にいたころは、あいだに人がいました。腹が立ったまま書いたメールを、出す前に誰かが見ています。「これ、ちょっときついよ」と言ってくれる人がいました。
ひとりで仕事をしていると、その人がいません。書いたものが、そのまま外に出ていきます。
AIに向けた返事なら、まだいいんです。相手は機械ですから。こわいのは、そのあとです。
とがった状態は、AIとの画面で終わってくれません。そのまま次の1通に乗って、お客さんのところへ届きます。
だから1分の手止めは、ひとりでやっている人ほど効きます。
止めているのは、AIへの返事ではなくて、そのあとに書く1通のほうなんです。
まとめ

気持ちは、消さなくていい。手だけ止める。
止めているあいだに、見え方のほうが、勝手に動いてくれます。
1分は、がまんの時間ではありません。見え方が追いつくのを、待っている時間です。
追いついてから、直す。直す中身は、同じでいいんです。そして、次からずれないように、1行だけ足しておく。
今日の一歩は、これだけです。次にAIの返事にイラッとしたら、返信を打つ前に、1分だけ手を止めてみてください。消そうとしなくていいです。止められたら、きょうはそれで足りています。
動画では、この3つのやり方を、画面の順番どおりに話しています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
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1分、手を止めてみた日があったら、その話を聞かせてください。おうちAI研究所という集まりでやっています。
気になったら、のぞいてみてください
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