
「これ、お金がかかるから無理だな」
そう思って、途中でやめたこと、ありませんか。
ホームページ。予約の表。案内の動画。見積もりを見て、そっと閉じたもの。
きょう、ビル・ゲイツさんのブログを紹介した記事が出ていました。もとの話はソフトウェアを作る人たちに向けたかたい話なので、そのまま持ってきても私たちの机では使えません。ここから先は、僕が自分の仕事に当てはめてみたところまでの話です。
記事で、僕の手が止まったところ

記事はこんな問いから始まっていました。AIがコードを書く時代に、作る人はいらなくなるのか。
ゲイツさんは、そこで話を止めていませんでした。作る値段が下がったら、次に何が起きるか。そっちを見ていたんです。
記事には、AIでコード生成やテスト、デバッグのコストが下がれば、これまで「開発者が足りない」「予算が足りない」と諦めていたシステムまで作れるようになり、ソフトウェアそのものの需要が増える可能性がある、と書かれていました。
減るほうの話は、もう何度も聞いていました。でも、値段が下がって最初に増えるのは、諦められていたもののほうなんです。
僕の場合は、80時間でできてしまいました

これは、僕にも覚えがあります。
やりたかったことを5つ、AIと一緒に作ってみたら、80時間ほどでできてしまいました。
外に頼んだらいくらかかるかをAIに出させたら、800万から1600万という数字が返ってきました。
嬉しかったんですけど、そのあとに来たのは「怖いな」でした。どれも、考えている時点で無理だな、と思ってやめていたものだったからです。
要らなかったから消えたのではなくて、その時の値段に合わなかっただけだったんです。
値段でやめたことを、思い出す順番

やることは、3行だけです。紙でも、スマホのメモでもかまいません。
見出しは「お金がかかりそうで、やめたこと」。
思い出せない、という人が多いので、探す場所を3つ挙げます。
1つめ、お客さんに毎回、同じ説明を口でしていること。
2つめ、いまだに手で書き写している紙。
3つめ、本当は見せたいのに、見せられていないもの。
僕の場合は、3つめでした。
AIに打つ言葉は、これだけです

書けたら、そのうちの1つを、いつも使っているAIの画面に持っていきます。
打つ言葉はこれだけです。
「これを、お金をかけずに、いまの私が自分でやるとしたら、どんなやり方がありますか。3つ挙げて、それぞれ何が必要かも教えてください」
「お金をかけずに」と「いまの私が」。この2つは必ず入れてください。入れないと、どこかに頼む前提の答えが返ってきます。
返ってきたら、もうひとこと足します。「この中で、いちばん手間が少ないのはどれですか」
ここまでで、たいてい、道が1本に絞れます。
いちばん大事にされるのは、消す力

記事には、大事なことがもう1つ書かれていました。
これから大事になるのは、速く作る力ではない。何を作るか決める力。できあがったものを見て、良し悪しを言う力。そっちに移っていく、と。
僕は、これはいい知らせだと思っています。
速く打つのは、もう機械がやってくれます。でも「これは違う」と言えるのは、その仕事を長くやってきた人だけです。
さっきAIが出した3つの案に戻って、そこから1つ消してください。消したあとに、理由も書きます。「これは、うちのお客さんには合わない」で十分です。
選ぶのではなく、消す。消せた1行が、あなたにしか書けない1行です。
それでも、自分がやると決める1つ

記事の中でいちばん静かだったのは、この話でした。
ゲイツさんは、機械にできる仕事であっても、人だけに残す場所を作ろう、と言っています。記事では、人のために取っておく領域、と書かれていました。例に挙がっていたのは、介護や医療です。早さだけでは決められない場所は、人に残しておこうじゃないか、という話でした。
ここも、僕の当てはめです。ゲイツさんが、おうち起業の話をしたわけではありません。
あなたの仕事にも、1つあるはずです。AIでもできる。でも、自分でやりたい。
僕がそう思うのは、人に宛てて書く文章です。お礼の言葉と、お断りの言葉。早いのはAIのほうだと分かっています。それでも、そこは自分の言葉で出したいんです。
だから、ここは早さで選ばないでください。「やっていて楽しいか」「これは自分の言葉じゃないと嫌か」。その2つで選んでいいと思っています。
きょうの一歩

書くものを出して、1行だけ書いてください。
「これは、自分がやる」。そのあとに、1つだけ書き足します。
さっきの3行の中からでも、外から持ってきてもかまいません。理由は要りません。書いた1行を、見えるところに置いておくだけです。
作る値段が下がって、最初に増えるのは、減った仕事ではありません。いままで諦められていたもののほうです。
あなたの手元にも、値段に合わなくて置いたままのものがあります。それは、要らなかったから消えたのではありません。
そして、全部を渡さなくても大丈夫です。1つだけ、自分の手に残していい。残す理由は、早いか遅いかではなくて、あなたがそこにいたいかどうかです。
動画では、AIに打つ言葉と、消し方のところをもう少しくわしく話しています。
YouTubeで説明してます
よかったらみてください
↓
同じように、置いたままのものを開けはじめた人が集まっている場所もあります。オープンチャット「おうちAI研究所」です。
気になったら、のぞいてみてください
↓

出典
- @IT(ITmedia)2026年8月31日「ビル・ゲイツが語る『AIで開発者はいらなくなる』の先にある話」 https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2608/31/news039.html
- 一次ソースの Gates Notes 本体は、この記事を書いた時点では取得できませんでした(HTTP 403)。ゲイツさんの話は、上の記事の本文によります。
- 机の上への置き換えは、ゲイツさんの主張ではなく、僕なりの応用です。800万から1600万という数字は、AIに出させた見積もりであって、実際の発注額ではありません。


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